第16回日本取引所グループ株主総会(2017)

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日時:2017年6月16日 10時~
場所:ロイヤルパークホテル

概要

現物は東証、デリバティブは大阪に集約。商品先物取引吸収が課題。海外取引所との提携に注力(四季報オンラインより)

印象

2回目の参加だが、前回(昨年)は複数社総会が被っていたため、お土産だけ頂いて失礼したため、ちゃんと参加するのは今回が初めて。昨年と比べると1週間ほど早い。もしかしたら「総会集中し過ぎ!」という意見が昨年あったのかもしれない。他の上場会社の模範となるべき立場だしね。

10分遅れで到着。この時点で第一会場は一杯で第二会場に案内された。同ホテルでもう1社総会が開かれていたが、これは非上場企業のようだ。

上場企業の株主総会の運営について

質疑応答に入る前に事前に届いた質問についての回答があった。全部で5つあったが、その内の3つは「上場企業の株主総会の運営について」だった。要するに株主総会に参加して無礼な扱いを受けた(と感じている)株主が「先生に言いつけてやる!」と送ってきた質問だ。

中でも面白かったのが、「セキュリティチェックの厳しい総会だったようで、その法的根拠を聞いても答えてくれない。なのでそのまま通り過ぎようとしたら殴りかかられた。さらに会場では質問をしようとすると係員に取り囲まれた」というもの。かなり話を盛ってる感じがするがw

で、こういう不届きな企業は上場廃止にすべきではないか。また、こういった総会を行っていないか調査すべきでは。という質問だった。

解答としては、上場廃止や実態の調査などは、市場の秩序を乱していると判断されれば行うが、それに満たない行為であれば行わないとのこと。

独立社外取締役の選任について

質問:東証は「独立社外取締役を2名以上選任せよ」としているが、各社の総会で社外取締役として紹介される人をみると、社員ではないもののその会社とかなり近しい人物(ツーカーの仲。古いw)であることが多く、独立性に疑問を感じる。独立社外取締役の選任の条件を厳格化すべきでは。

解答:ご指摘通り「独立」という部分が重要である。独立性を有した社外取締役を選任してもらうよう、これからも上場企業に対してお願いしていく。

「独立社外取締役です!」と紹介されて経歴を見ると、確かに直接の社員ではないが、親戚みたいな企業の出身だったりして、「社外」や「独立」に疑問符が付く企業はいくつかあった気がする。日本和装の総会で「社外監査役です!」と紹介された人が和服だったのは「もう染められてる!」と思ったw

第30回 日本和装ホールディングス株主総会@東京証券取引所(2016)
日時:2016年3月29日 11時~ 場所:東京証券取引所 会社概要 着物、帯、和装小物などの販売仲介業者で手数料収入が収益源。無料...

ただ、まったくの畑違いの人を連れてきても会話が成り立たないから、やはりある程度その業界に精通してないといけない。その上で独立性を求めると、狭い業界だと大変だよな。

上場廃止基準について

質問:かつては粉飾決算によってカネボウや西武鉄道など多数の会社が上場廃止となったが、最近は粉飾決算が発覚しても上場廃止となる会社は少ない。上場廃止の基準が緩くなっているのではないか。

解答:粉飾決算については非常に憂慮しているが、上場廃止となると株主の流通の場をなくしてしまうことになるため、そう簡単には判断できない。特設注意市場銘柄に指定して一定の期間内に会計の体制を整えていくことを促していく方針である。それでも改善がなされない場合には上場廃止となる。

東芝とか東芝とか…。確かに決算発表が遅れても辛抱強く待ってあげてる印象を受ける。デカくて潰せないのか。政府からの圧力があるのか。

東証・大証以外の取引所について

質問:「日本取引所グループ」という名前だが、日本には名古屋、札幌、福岡にも取引所はある。その辺も統合していかないのか。

解答:「日本取引所グループ」と言う名前は、証券だけではなくコモディティ(商品)も扱う総合取引所を目指すのに相応しい名前ということで付けられた。また、独占禁止法の兼ね合いで証券取引所間の競争を維持しなければならないため(実際には東証が寡占状態だが)、地方の証券取引所はそのまま残っている、というのが実情。

このグローバルに取引されている時代に国内にしぼった独占禁止って意味あるのかな。しかも、自身でも認めているように、見かけ上の競争環境を演出しているにすぎないし。

個人投資家の冷遇

質問:高速取引や10銭単位の刻み値は個人投資家としては取引し辛い。大口の取引先優先で個人投資家があおりを食らっている。

解答:公正で流動性の高い市場を目指して、様々な取引にも対応できるようにシステムを更新している。時代の流れやテクノロジーの進化で新しい取引主体、取引手法が表れるのは必然。また、刻み値幅を小さくすることは、取引コストの減少と約定待ち時間を減らしてスムーズな取引を行うメリットがあると考えている。

刻み値幅の話は議長の例え話が分かりやすかった。質問で挙げられた事項で有利不利を感じたことがないんだけど、僕のスタンスが長期投資だからなんだろうなぁ。デイトレとかだと個人に不利に働くのかも。知らんけど。

質疑はまだ続いていたが、この後予定があったため11時30分で退席した。

まとめ

一言で言うと、すごく面白かった。家を出る時は「複数社まわらないと交通費の割に合わないなー」と乞食根性丸出しだったが、行って良かったw

他の会社の総会と違って日本の株式市場全体に対する話になるので非常に興味深い話ばかり。勉強になることも多かった。もっともJPXにとってはそれが自分の業務なのだから当然だが。他だと証券会社の総会とかもこんな感じなのかな。行ったことがないので分からないけど。

議長は基本的には質問を他の役員に振るんだけど、その後の補足が実に的確で、解答が質問の意図とズレてるなーと感じる時は、大体議長が聞きたかったところを話してくれた印象。

質疑の中で「社外取締役の生の声を聴かせて」という要望があったんだけど、「取締り役会ではかなり自由に発言させてもらえる」「発言した自分でも驚くぐらいに意見を迅速に取り入れてもらえる」旨の話があって、それもこの議長だからなんだろうなぁ、と思って聞いていた。

巷では「老害」って言葉も氾濫してるが、これは良いお爺ちゃん。

お土産

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昨年同様、京菓匠 鶴屋吉信の「つばらつばら」5個。あと、今回は総会にも出席したのでJPXのストラップも記念品として貰ってきた。ストラップは東京証券取引所の売店でも売ってます。(200円)

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